昔ペルシャにエステルという名の女性がいました。彼女はペルシャ王の奥さんでした。でもこの時代には王様にはたくさんの奥さんがいました。エステルはペルシャに住んでいましたが元々はユダヤ人でした。ある時エステルのお父さんの代りをしていたモルデカイという人が、王様の家来であるハマンから言いがかりをつけられました。それはユダヤ人のモルデカイが王様の家来であるハマンに敬礼(尊敬する挨拶)をしなかったという言いがかりでした。
モルデカイに恨みをもったハマンは、ユダヤ人を絶滅させることを王様に持ちかけ、王様もそのことを認めてしまったのです。モルデカイは困りましたが、王様の奥さんになっているエステルに相談して、王様を説得するようにお願いしました。しかし王様の奥さんであっても、王様から呼ばれない限り自分から王様のところに行って、お願いすることはできませんでした。そんなことをすればエステルは殺されてしまうからです。エステルは悩みました。ペルシャに住んでいる大勢のユダヤ人の命を救うために、勇気を出して王様に自分からお願いすることができるかどうかを。
正しいことを、勇気をもって「正しい」ということは本当に難しいことです。でも聖書は、すべてのことを見ておられる神様がおられると語っています。この神様を思い出すとき、私たちは勇気をもって「正しい」ということができるのです。エステルもまた、王様のところに行って「モルデカイを助けてください」と言うことができました。そのエステルを神様はしっかりと守ってくださったのです。